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年一〇回に分けて、一〇〇万円ずつ発注した方が金利は安くなる。
このように、発注にかかるコストと在庫金利とのコストトレードオフを解決して最適な答えを見出そう、というのがEOQのねらいである。
その最適な答えは、当然、トータルコストで最低になる値である。
このように、発注一回にかかるコストと在庫維持費用率を設定し、それぞれを発注回数、平均在庫金額(発注額の半分)に掛けることで発注回数ごとのコストを算定するのである。
そして最もコストが低くなる発注回数における発注額を「量」に換算し、EOQとして設定するのである。
つまり、原理的には発注回数が決まれば発注量も同時に決まるため、まさに「定期定量」に発注するという方式になるのである。
ところで、この説明に違和感を持たれた方も少なくないのではなかろうか。
つまり、発注量を決める唯一の要件が「コスト」になっているということである。
ここで考えていただきたいのが、そもそも在庫管理における最大の課題は何であろうかということである。
いまの在庫管理の課題は、いうまでもなく、適正な在庫量を維持することである。
需要は変動するものであり、その変動にいかに在庫量を適合させるかが在庫管理における最大の課題といってよい。
あえていえば、コストは二の次なのである。
いくらコストが安くても、欠品や過剰在庫が発生するようでは何にもならないからである。
需要に変動があるということを前提に新たな発注方式が登場する。
需要が安定的に推移しないとなると、問題となるのは「定量」という概念である。
定量で発注した場合、欠品や過剰在庫が発生する恐れがあるという状況においては、定量という考えは否定される。
そこで登場するのが、たとえば月一回、週一回というように発注日を定期に決めておいて、発注量はそのときどきの出荷状況を踏まえ、次の一週間、一カ月という発注間隔分の出荷量を予測し、決めるという方式である。
発注のつど量を決めるというので「不定量」となる。
これが「定期不定量発注」と呼ばれる方式である。
当然、需要が安定しており、年間の販売額がほぼ読めるという前提自体もいまや成り立たない。
実際問題として、このような前提が通用する時代・商品というものは現実的には例外的な存在といってよい。
需要には変動があるというのが当り前な時代になるとともにEOQは実務的な存在価値を失うことになる。
ただ、このEOQは、そこで使用するコストデータが実際には把握が困難であるという弱点を本質的に持っている。
そのため、よく知られているわりには、この方式が実務に使用されるということはほとんどなかったというのが実態である。
その意味でも、定期定量発注方式は、現実的に使えない方式であると結論づけて間違いない。
定期不定量発注方式が実務的には定番となっていた物流を市場動向に同期化させるこの定期発注が抱える問題が「定期」に起因することは明らかである。
これを解決するためには、在庫の動きをフォローし、ここで発注しておけば在庫が切れないという発注点を決めておき、発注点に至ったときに必要量を発注するという方式を取り入れればよい。
不定期不定量発注がこれからの主役メーカーにおいては生産計画において当たり前となっている方式であるが、問屋や小売店においては週一回決まった曜日に発注という形で多く採用されている。
つまり、発注方式としては、この「定期不定量」方式が実務的に広く採用され、発注方式の定番となって、いまに至っているといってよい。
ただ、これまでの実態を見ると、この方式における最大の問題は「発注量」の決め方である。
論理的には、次の在庫期間の出荷を予測するとはいっても、現実には予測のデータもなく、手法も確立されていないため、結果としては販売計画や発注ロット、さらには経験や勘で決められていたというのが実態である。
また、発注が定期であるため次の発注日まで在庫が切れないようにすることが必要となり、どうしても多めの発注になりやすいという傾向を持っていることも否定できない事実である。
逆に、思った以上売れると緊急発注が生じるなど、発注が定期であるがゆえの問題を抱えていることも否定できない。
ただ、現実的に、これに代わる方式がないため、この方式が長い間続いてきたといえる。
発注時期が決まっていないという意味で「不定期」発注と呼ばれるものである。
ただ、この方式は、在庫アイテムごとに出荷に伴う在庫量の減少を把握し、発注点に達しているかどうかのチェックが必要であり、コンピュータの力なしには活用が困難なことはいうまでもない。
そのため、かつてのホストコンピュータを中心にした情報システムが主流の時代には普及しなかったのである。
ところが、最近のパソコンの発展により、これが比較的簡単にできるようになり、現実的に使える方式として認知され始めたわけである。
この不定期発注時に発注量を予測し、適量を発注するという方式が「不定期不定量」と呼ばれる発注方式である。
この方式は、在庫切れを恐れて在庫を余分に持つ必要もないし、欠品の発生も防げる。
その運用が簡単にできるのであるならば、この方式が最も優れていることは明らかであり、今後の主要な在庫管理方式になることは間違いない。
これからの在庫管理方式の主役はこの不定期不定量方式だといってよい。
この方式については、後で詳しくふれる。
ところで、これまで三つの発注方式について述べてきたが、これ以外に「不定期定量」と呼ばれる発注方式がある。
しかし、この方式をこれまでの三つの方式と同列で論じるのは誤りである。
不定期に発注することを前提にすれば、発注量を定量にした場合、発注サイクルが極端に短くなったり、長くなったりと不安定な軌跡を描いてしまう。
欠品や過剰在庫の原因になりやすい。
この方式は、在庫金額も大きくなく、量も多くないという管理上あまり重要でない品目に使う「2ピン法」に代表される簡便法と位置付けるのが妥当である。
つまり、先に述べた三つの発注方式とは一線を画すものといってよい。
さて、四つの発注方式について説明してきたが、これからの在庫管理においてどの方式が望ましいかについては自明である。
需要の変動に即応できる方式が望ましい。
それは、すでに述べたように、不定期不定量方式以外ありえない。
なぜなら、他の三方式が抱える問題をすべてこの方式で解決できるからである。
管理する立場からすれば、方式は一つに統一するのが望ましい。
品目によって、さらに品目の売れ方によって方式を変えるというのは決して効率的ではない。
つまり、商品がどのような売れ方をしようが、それをカバーできる一つの発注方式が必要なのである。
その意味では、選択の余地はないといえる。
欠品や過剰在庫の発生を最大限抑制できる「不定期不定量」方式にすぐるものはないといってよいであろう。
この不定期不定量発注方式のメカニズムは単純である。
ここの「物流システム」のところで説明した「出荷対応日数」「リードタイム日数」「在庫日数」の三つが柱になる。
すべて「日数」で管理をする点に特徴がある。
出荷対応日数とは、現有在庫量を一日当り平均出荷量で割ったものである。
平均出荷量は一定期間の出荷量を出荷日数で割ったものであり、移動平均値と見ればよい。
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